welfare:おまけ





『進藤!』


いつも、その強い視線と一緒に呼ばれた。

名前を呼ばれただけなんだけど、それは『呪縛』だったと思う。
完全にオレは、その声と視線に捕らわれた。






ふと、何かが触れた感覚があって、オレの意識は浮上した。
気持ちいい肌触りのシーツはもちろんだけど、一緒に過ごした後は
なんだか甘い気持ちでいっぱいになる。


恥ずかしいのか、悔しいのか…両方かな?
最愛の恋人は中々素直になってくれない。
そんな塔矢も可愛いとか云ったら、絶対に機嫌が悪くなるから云わないが、
その気持ちが溢れた時は凄い。


昨日みたいに。


挑むみたいに真っ直ぐに呼ばれるのも好きだけど、
かすれ気味の声で甘く呼ばれるのも堪らなく好きだ。
触れる肌はどこも熱くて、伸ばされる手は甘い。






これ以上、思い出すのはヤバい。
止まらなくなりそうで、思考に急停止をかけた。





その時、背中に回っていた手が優しく髪に触れてきた。




完全に意識が覚醒した。
愛おしむように優しく髪を梳かれる。


この時間が終わるのが嫌で、オレは寝たふりをした。
起きてるなんてバレたら、照れ屋な恋人はきっと背中を向けてしまう。
こんな貴重な体験は少しでも長く感じていたい。



そう願ってたのと同時に、その手は唇に触れてきた。
戸惑うように触れる指。


もう…何だろう、この甘さ。




こんな時間はもうないかも知れないのに…。












「…………お前…反則」

「…起きていたのか?」

我慢できなくなって、髪に触れていた手を捕まえた。
びっくりして引こうとする手を引きよせて抱きしめる。
瞬間的に強張った身体を優しく包んでやる。


「ダメ、逃げないで」


知ってるから。
どうして…昨夜、あんな風に必死だったか。



「もっと…オレを独り占めして?」

「…………莫迦」



塔矢は何かに思い当ったようで、少し沈んだ顔になる。

こいつは誰かを好きになるのは初めてだと云っていた。
そして、いろんな感情を初めて体験してるのだ。

優しい気持ちも。
激しい恋情も。
嫉妬も。

身勝手な独占欲も。




「…そんな寂しそうな顔、しないで」

ぎゅっと抱きしめて囁くと、少しほっとした様に力が抜けたのが判った。
そのまま、静かにすり寄ってきて肩口に顔を埋めてきた。


そんな小さな仕草が堪らなく愛しい。





「………今日は…ちょっと肌寒いな」

素直じゃない恋人の精一杯の強がり。
何もかも…全部を満たしてやりたい。


「寒くなるといいよな。こうする口実が出来て」

素直に甘えられない、そんな可愛い恋人の
可愛い一言に付き合ってやる。
もちろん、そんな一言がなくたってどんどん甘やかしてやる。



「いつも口実がなくてもするじゃないか」

「んー、したいから仕方ない」

くすくすと笑いながら、キスをする。
額に。こめかみに。頬に。

唇に。

混じり合う吐息が心地いい。



「朝までまだ時間あるから」

「うん」


微かな「おやすみ」と云う言葉と同時に、眠りに落ちて行く塔矢。
腕の中の存在にオレも心地よい眠りに引き寄せられる。


明日はまた、いつもの意地っ張りに戻ってるんだろうけど、
それはそれで愛おしい。

さっきまでの甘い時間を思い出して、照れるんだろうなと…
楽しい時間を想像しながら、優しい眠りに落ちて行った。




     2009.1.18   asagi takada


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な・・・・・なんちゅう幸せそうな二人。
しかし!
一番幸せなのは、このお話をいただいたおいらなんですよ。
「ああ・・・また来るのかよ、誕生日がよ」
と一人、ひよってましたら幸せ宅急便がうちに舞い込んできました!
しかも誕生日の前日に!
そして「うひゃぁ〜♪」と小躍りしてましたら、誕生日当日に
”進藤バージョン”のプレゼントですよ!
包容力のある男、好きです!
アキラさん・・・・愛されてますねぇ・・・・・(指くわえ)
全てを悟っちゃってるんだけど、そんなことおくびにも出さない。
真綿で包むように、恋愛初心者のアキラさんを全身全霊掛けて愛しちゃってる進藤。
年月が経てば、このふたりの形もまた色々と変わって行くのでしょうけれど
この基本形(包容力のある男、進藤)は不変のような気がします。
(進藤ヒカルにゾッコン連盟会長・新年度にあたっての所信表明演説、終了)


実はこれを頂いた日の朝。
家を出て会社に着くまでの7分間(笑)
これが結構、妄想タイムだったりするんですけどこの日の妄想は
『朝、起きたら目の前に進藤の寝顔が?!』
まさにこのシチュでございますよ。
「朝、目が覚めたら目の前に進藤の顔♪いいよなあ・・・・これ以上の幸せはないよ。
 んでさ、顔にかかった前髪とか直してあげてついでに頬に”ちゅ♪”とかしちゃってさ、
 ひとりでテレちゃってたりしてーーーー(ぎゃーー:バンバン☆脳内机を連打☆)
 したらさ、実は進藤、狸寝入りでぇぇぇ〜〜〜・・・・。ギュって手首なんか掴まれちゃったりしてー
 ”こぉら♪何してんだよ♪”
 とか言われておでこ”ちょん”とかされちゃってさぁぁ!!くぅぅぅぅ〜〜っ!(またもや脳内机を連打)」
・・・・・と妄想も佳境に入ったところで無常にも会社に着いてしまったのでした。
徒歩7分だからサ。(うつむき)
そんなことのあった日の晩にいただいたのがこのお話だったので、非常に驚いたのです。
あさぎさんったらいつの間においらの脳内、覗いたの?と(笑)

あさぎさん曰く
「とりとんさんの妄想電波を受信したか?」
だそうで(爆笑)


ああ〜〜やっぱ、あさぎさんちの進藤はオトコくさいや♪
あさぎさん自身、よく「自分の書く進藤はヘタレで」とかおっしゃってますけど、とんでもないですよ。
ヘタレからの切り返しの凄さったらもう!(過去のあさぎさんちの進藤を激しく回想)
『一体、どこにそんな野獣を隠し持っていた訳?』(身悶え中)
と嬉しい悲鳴を上げさせられることになるのですわ。
攻め体質の方が書かれる(描かれる)進藤は一味違いますね。



今年は驚きと喜びと幸せの三重奏の誕生日を過ごすことが出来ました。
あさぎさん、ありがとうございました!




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embrace


2009.1.24