| 七夕 | |
「あ〜やっぱ見えねぇよなあ…」 マンションのベランダでたばこをふかしながら夜空に向かってオレはひとり呟いた。 こんな都会の中から天の川なんて見えるわきゃない。 夜のニュースで地方での七夕行事を流していたのを見たらつい思い出した出来事・・。 「あん時最後まであいつの話、ちゃんと聞いてやればよかった…。」 まだ、傍らに佐為がいた頃しきりにアイツがオレに七夕のことを話し掛けてきたっけ…。 「ねえねえヒカルっ!ヒカルは七夕の短冊にどんな願い事を書いたんです?」 「ああ?オレは今度発売されるゲームが欲しいです…って書いた」 「はあぁぁ〜〜〜またゲームですか?昔虎次郎と七夕をやりましたけど虎次郎は・・」 「あーーーーーっ!もうっ!うるさいうるさいっ!オマエってば虎次郎・虎次郎ってそればっかじゃん!」 「そそそそんな・・・私はただ別に・・」 「もうイイよっ!」 佐為の奴何か言いたそうだったけど、オレが拗ねてそっぽ向いちゃったもんだからバツ悪そうになって・・・・そういやあれからだったっけ?佐為が虎次郎の話をしなくなったのって・・・・ ふーーーーっ 天の川の見えない夜空に向かって大きくけむりを吐き出す。 「あれってやっぱ・・・嫉妬だったのかな?虎次郎に対しての。ガキだったよな、オレ」 吸いかけのタバコを消して、頭をガシガシとかきむしった。 「佐為がいなくなってもう何年経った?でも今だに時折こうやってオマエのこと思い出してへこんでる。 やんなるよなあ・・・・いかにオレが無神経だったかきっとこれからもずっと、こんな風に思い知らされるんだ。」 「進藤?」 「塔矢・・・・」 「どうした?」 シャワーをあびて来たらしい、まだ湿った髪からシャンプーのいいにおいをさせて優しく微笑みを寄こしながら気遣ってくれるオレの恋人・・・・・。 「うん、いや・・・・・さ、何か色々と昔のバカだった頃の自分を思い出しちゃって『一人反省会』を開いてた」 「今更何を?キミは今でも充分立派に大ばか者だぞ?!そういう言い方だとまるで今はバカじゃないみたいに聞こえるじゃないか?!」 「あのぉ〜〜〜塔矢サン、確かオレの恋人でしたよね?」 「ああそうだが?!」 「うわっ・・冷たい!!よくも最愛の人に向かってそんな口を聞けますのことね?それともこんなヘタレのオレなんかもうイヤになった??」 「ヘタレじゃない進藤なんて進藤じゃないよ・・。だがそのまんまヘタレっぱなしだったらボクも考えさせてもらう」 セリフは淡々と冷たそうだけど顔は笑ってる・・・、こんな綺麗な笑顔を見せるのはオレにだけだって事知ってるんだ。 「塔矢、好きっ♪」 「ボクも好きだよ、そんなヘタレるとこやバカなところも全部」 「ううううぅぅぅぅーーー何か複雑だけど・・・・・」 塔矢の頬に手をあて優しくキスをする。ふれるだけの・・・・。 「シャワーを浴びた後のオマエってイイ、しっとりとしてて。」 息がかかる程の距離で囁く。 「浮上出来た?」 「うん、何とか!でもまだオマエが足んない」 塔矢の腰を抱き寄せ、今度はもっと深くて激しいキスを何度も何度も繰り返す。 『佐為・・・今オレの傍らには塔矢がいてくれる。・・・・お前のこと、この間塔矢に話しちゃったけど、いいよな?これからオレたちはずっと一緒にいるんだ。そしていつかきっと・・・・オレと塔矢とお前と碁を打とう』
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