虹の記憶・・・・(by:新城ゆきの)

夜景

塔矢《4》


「オレここに部屋とったから。もし、もしオマエがOKなんだったら来て。」


そう言って進藤は席を立った。
ボクは暫らく立ち上がることが出来ず眼下に広がる夜景をボンヤリと見つめる。
彼が今日ボクの前に現れた時から多分こうなるであろうとは予想していた。


「アキラさんは一体これからどうなさりたいんですか?」


進藤から告白されたことを彼女に打ち明けて、ボクがぐずぐずと迷っていた時に言われた言葉だ。


「あなたはいつも回りのことを考えすぎです。たまにはご自分の思ったままに行動するのもいいんじゃありませんか?
それに・・・・・・私の事なら気にしないで下さい。始めっからお互いの事情を納得した上でのお付き合いだったんですから、あなたが気にする必要なんてこれっぽっちもないんです」


彼女の優しさが改めて身に染みてくる。


「行こう」


ボクは席を立って進藤の元へ向かった・・・・・・・・・
そして今ボクは彼と同じ部屋にいる。


「塔矢・・・・」


先に部屋に入った進藤が振り返ってボクをふわりと抱きしめた。
優しい抱擁。
今までの気まずかったことなんか全部水に流してくれるような優しさが伝わって来て、嬉しさのあまり涙が出そうになる。

「ああ・・・・・」


思わずボクの口からため息が漏れた。


「オマエの答え、今ここで聞かせてくれる?」


耳元で囁くように言われてボクは、それだけで身体が熱くなって。
彼の肩口に頭を預け一呼吸置いてから言葉を選ぶようにゆっくりと、自分の心を打ち明ける。


「進藤、ボクは・・・・ボクはキミのことが好きなんだ。まえからずっと・・・キミだけしか見ていなかった」


そこまで言って彼の胸のあたりの服を掴むと、彼がそれに応えるようにぎゅっと腕に力を込めた。


「ボクは…我儘な人間なんだ。本当はキミの事が欲しくて欲しくて堪らなかったクセにいざキミが振り向いてくれてアクション
を起こされたらあのざまだ。我ながら情けなくなる…。ボクは恐くなったんだよ、進藤…急に想いが通じてしまって、その先のことを全然考えてなかったからうろたえてしまった。それに他の現実的なことが頭をよぎってしまったらどうにもこうにも動けなくて。結局自分のことしか考えてなかったんだ」


「現実的なことって、たとえばオレたちが同性なのにこれからどうやって付き合っていくのか?とか?回りにばれたらどうしよ
う?とか?お前ならまずそんな事を一番に考えそうだ」


「うん・・・・それに親のこととか・・・・」


「オマエってば、ふぅ〜・・・・まずさぁ、親の事考える前にオレのこと考えて欲しかったぜぇ。オマエ先の事考え過ぎ。そりゃオレだって考えなかった訳じゃないよ。オレ達男同士だし…同じ棋士だ。これから何十回とオマエとは戦っていかなくちゃなんないんだし。そんな事分かり切っていた事なんだ・・・。それでも、それでもオレはオマエがいいんだ!オマエじゃなくちゃ駄目なんだよ、うん。考えなきゃなんない問題は一杯あると思う。でもさ、まずはこっちが先じゃん?な?一人で考え込むなよ。オレを頼ってくれよ・・・ってちと頼りないかもだけどな」


そう言いながらそっと身体を離しボクの髪に両手を差し込んでくる。


「ううん、キミは頼りなくなんかない。それに今回のことでボクはいかに自分が子供だったか思い知ったよ、進藤」


「塔矢・・・・・・」



進藤の優しいキスが降りてきた。
唇を重ね合わせるだけの・・・・
それでも何回か繰り返しているだけで身体に震えが起きてくる。
人って嬉しい時でもこんなに身体が震えるものなんだ、なんてぼんやりと考える。
次から次へと「好き」が溢れ出てきて止まらなくて・・・・・・。
今まで長い間我慢していた分、今一気に噴き出してきたっていう感じだった。


「どうしてこんなにボクはキミが好きなんだろう」


何回目かのキスの合間にボクは彼に縋りながら呟いた。


「・・・っ・・オマエからそんな言葉が聞けるなんてオレ・・・・・死んでもいい」

「バカ、死ぬな。そんな事で!」


抱き合いながらクスクスとふたり笑い出す。


「なあ、これからはなんでもふたりで一緒に考えよ?ん?」

「うん」


それからふたり見つめ合ってどちらからともなく顔を近づけ、今度は深い口付けになった。
もう言葉を発する余裕もなくお互いを貪り合う、そんな感じのキス。
進藤の舌がボクの口内に入り込んできてボクのそれと絡み合う。
強く吸われて、軽く噛まれてボクも彼の舌を求める・・・・・
そんなことを繰り返しているうちに、頭の芯がくらくらしてきて身体の力が抜けてしまう。


「いい?」


力が抜けきったボクの身体を抱きこみながら、進藤が囁いた。


「・・・え?・・何?」


ぼんやりとした頭で答える。


「オレ・・・オマエのこと抱きたいんだけど・・・・・って、ん〜つまりぶっちゃけオレおまえに挿れたいと思ってんだけど・・・・
…や、そこら辺はっきりさせとこっかなーって思ってさ。あ、もしオマエがどうしてもやだっていうんなら…オレ考えるけど」

「ボクは…その、そこまで正直考えてなかったから…どうって言われても…ただキミを抱くっていうイメージを持ったことは
無くて・・・…その……なんとかなるんじゃないかと・・・・・思う」


そう言いながらボクは恥ずかしさのあまり、顔から火が出そうだった。
進藤とのあれこれをあれから何気なく想像した事はある。
あるけど具体的にどうこうまでは全然考えてなくってどうしよう、そう思いながらそっと進藤の顔を盗み見た。

彼の顔も真っ赤だった。
本気で、真剣に考えてくれてるんだ。
そう思ったら胸が熱くなった。


「進藤…」

「ん?」

「ボクを抱いて」


『ガタッ☆』


彼が更に真っ赤になりながらよろけて椅子にぶつかった。


「とっ・・塔矢ぁ〜、今のはキた!はぁぁぁ---っっ。参った!腰にキちゃったよ、思いっ切り」

「くっくっくっ・・・・キミって人は全く・・・・・」


抱いて、なんて男が言うセリフじゃないと思うけど、今のボクの正直な気持ちだったからごく自然に口をついて出たんだと思う・・・・


「塔矢、ありがと」


またぎゅうっと抱きしめられて、それからふたりベッドへと向かった。

ベッドの脇でふたり、お互いの着ている物を脱がせ合う。
少しの間も離れていたくなくってひとつ脱がせてはキス。
またひとつ脱がせてはキス・・・を繰り返す。
今日これで何回目のキスなんだろう?と思った頃にふたりは一糸まとわぬ姿になった。
初めて見る彼の裸体。
思わず声も無く見とれてしまう程に進藤の身体はとても綺麗だ。
そんな彼の胸にそっと腕を伸ばしうっとりと手を滑らせる。
ジムに通ってるって聞いたけど、いやみの無い程度にほどよくついた筋肉。
身体全体とても均整が取れていて、胸板も厚くて・・・・・この胸にさっきボクは縋りついたのかと思うとそれだけで頬が赤らんでしまった。


「塔矢・・・・オマエすっげえ綺麗。なまじなそこらの女なんかよかずっと綺麗だよ。どうしよう、オレもの凄くドキドキしてきた」


そう言いながら差し出していたボクの手を掴んでその手を自分の頬に摺り寄せる進藤。
暖かな彼の頬に触れた手から幸せな気持ちが溢れてくる。


「ボクもだよ、進藤。こんな気持ち初めてでどうしたらいいかわからない」

「オレもなんだか初めての時みたいで、すっげぇ緊張する・・・・・だけどそれ以上に、嬉しい。塔矢・・・・」


そっとベッドに横たえられて、また熱い口付けを交わす。
堰を切ったようにボクの唇を求めてくる進藤。
あまりに激しくて息が止まりそうになる。
お互いから発せられるのはすでに言葉にならない声で・・・・・


「・・・んっっ・・・と・・・や・・好き・・・・・」


耳元で彼が荒い息の下から言葉を囁く度に身体が跳ね上がってしまうのを止めることが出来ない。


「っ・・・・・ん・・・・しん・・・ど・・・・ボクも・・・・あっ・・・・」


耳を甘噛みされて口に含まれて、熱い吐息を吹き込まれる。
身もとろけそうな熱がそこから広がりその熱に身体中が支配されていくようだった。


「好き・・・・・・大好き・・・・・・と・・・・や」


途切れ途切れに吹き込まれる彼の言葉。
ボクも言葉にして何とか返したいのに息が上がってしまってもう声にすらならない。
彼の背中に腕を回して彼を抱きしめるのが精一杯で、でも身体全体で彼を感じることが出来る喜びにボクは嬉しくて涙が出そうになる。
彼の唇が耳から首筋へと流れて行って首筋を強く吸われた。
あの晩のことがフラッシュバックして少しいたたまれなくなったけど、そこから感じる強い快感に我を忘れて声を上げる。
彼の手はボクの胸の頂きを彷徨い始めゆっくりと先端をつまんだり指の腹で押しつぶしたり・・・・・・・
その刺激は身体の芯にダイレクトに伝わって自分の身体がはっきりと反応したのを感じた。


「ああっっ・・・・・・・」


つい声が出てしまう。
自分の声ではないような声・・・・
男が胸で感じるとは思わなかった。
今度はそれを口に含まれて舌で転がされて、ボクはそこから溢れ出る快感から逃れようとつい身体を捩ろうとしたけど進藤に身体を抑えられていて逃れることも出来ない。
そして彼の手はボクの身体の上をあちこちを滑り始め、そしてわき腹をするりとなで上げると身体の中心へと向かう。
もうそこはすでにキスの段階から兆し始めていて今はすっかり勃ち上がってしまっている。
それが恥ずかしい、と思う反面、そこに集まった熱をなんとかして欲しい、とも思う。


「塔矢、もうこんなんなってる・・・・」


ゆるりと握り込まれたそれは濡れてしまっているのだろう、彼の手の動きと一緒に聞こえてくる音がたまらなく恥ずかしい。
セックスという行為の内容自体が恥ずかしいことの連続であることに変わりはないのだけれど、こんなに羞恥を感じたのは生まれて初めてだった。
彼の手がゆっくりと上下して、ボクのものを扱く。
強烈な刺激だった。

あの彼の手が・・・・・と思うだけで身体は頂点へと向かい始める。

「んんっ・・・・・あっ」

「ここ・・・・いい?」


もう言葉など発することも出来ず、ただひたすら喘ぎながら頷く。


「塔矢・・・・好き、大好き・・・・・」


その言葉にボクの身体は更に熱を持ち、身体から力が抜け落ちる。


「あっっ!し・・進藤っ!」


彼がためらうことなくソレを口に咥え込み、舌を使って上下し始めた。


「やっ、やめ・・・・し、進・・・・・・んっ・・・・・・はっ」


恥ずかしさと裏腹に、身体は素直にその強烈な甘い刺激にしっかりと反応していた。
身体が仰け反る。
跳ね上がる腰を彼押さえ付けられ両手はただシーツを掴むしかなく、 ボクは喘ぎ続けた。



彼の手が後ろへと回った。そこを使うものだと頭でわかってはいても、どうしてもいたたまれなく逃げ出したい気持ちになる。
何か進藤はごそごそ取り出している。

「さっきちょっとバスルームから拝借してきた。本当はちゃんとローションとか使った方がいいんだろうど、ないよりはましかと思って」

そう言いながら取り出したのは乳液だった。
(さっきちょっと、とそこに入ったのはこの為だったのか)
それを回りに塗りながら指をゆっくりと差し入れてきた。


「っ…」


あまりの羞恥と違和感につい身体に力が入ってしまう。

「とーや、もっと力抜いてラクにして…息吐いてみて」

「−−っ…」

「うん、そうそう。そんな感じ。指、増やすよ、いい?」


進藤にされるがままのボクは、さっきから聞こえてくる粘着質の水音がたまらなく恥ずかしく声など出すことも出来なくて、腕で顔を隠しながらうなずいた。


「ごめんな、だけどちゃんと解さないと後でオマエが辛いから…ちょっと我慢してな。気持ち悪かったら言って」


済まなさそうに言う彼に自分の方こそすまない、と思う。
普通の男女ならば必要の無い手順を踏まなければ繋がる事も出来ない…そんな事を考えると胸が痛む。
彼の長い指が入り込んでいる。
あの、いつもは巧みに碁石を掴む指・・・・・・
煙草を吸う時、つい目が引き寄せられてしまうあの彼の長い指が今ボクの中に・・・と思っただけで頭が混乱してくる。
「そんなところまで」と思った途端腰に電流が走ったように身体が跳ね上がった。
これを快感と呼んでもいいものなのか…今までに経験したことの無い感覚にただ訳もわからずに、身体を弓なりに反らせ声を上げ続けた…。


「ここなんだ、うん」


何やらひとり納得している彼にこれは何だ?と問いたいが、それすらままならないほどの感覚にボクは翻弄され続けた。


「これ以上するとオマエいっちゃいそうだし、オレももう我慢出来ねぇ。な、挿ってもいい?」


(この訳のわからない感覚から逃れられるなら・・・・)
すでに混乱している頭でそう考え、こくこく頷く。
それまでボクの中を動き回っていた指がするり、と出て行った。

ふぅ・・・・と息を吐いた瞬間にゆっくりと彼が挿ってくる。
内蔵が押し上げられる様な圧迫感。
でも痛みは感じられなかった。


「は--っっ・・・全部挿った、塔矢、痛くない?」

「うん…」

「よかった」


そう言う彼の顔はすっかり男の顔だった。


「進藤…そのまましばらく動かないでいてくれる?」


この状態で動くなというのは彼にとって酷かも知れなかったけど、あまりの急な展開に気持ちも身体もついて行ききれず・・・・・それにボクはゆっくりと彼を感じていきたかった。


「わかった・・・」 


そう言いながら キスを愛おしそうに・・・・本当に愛おしそうに、額に・・頬に唇に落としてくる彼。
ボクもキスを返す。
(こんなに幸せでいいんだろうか?)
そんな想いが胸にこみ上げて来て、ボクはぎゅっと彼を抱き締めた。


「好きだよ…進藤」


彼の耳元で囁く。
その途端、彼がボクの中で大きくなるのを感じた。
(そろそろ彼も限界かも知れない)
そしてボクも・・・・・・・・・


「…っ、塔矢、動いてもいい?」


切羽詰まった彼の声。


「うん」


ゆっくり彼が動き出す。
自分もその動きに合わせていく。

そして彼がボクの中で動くたびにボクの心の中の鎧がひとつずつ剥がれ落ちていくのを感じた。
もう隠すものなどは何も無い・・・・・・

どんどん動きが激しくなっていくにつれ、新たな快感が次から次へと湧き出してくるのを止めることが出来ない。
ただ二人の身体が触れ合う時の肌の合わさる音やシーツに擦れる音だけが頭に響いて・・・・・。


「・・・っ・・ああ・・・っっ・・・し・・・しんど・・・ぅ・・・っっ・・・」

「とーや・・・・!とーやっっ!はっっ・・・・んっっ・・・オマエ凄い・・・・・・イイよ・・・・すごく・・・・」

「もっと来て・・・・しんど・・っっ・・・もっと・・・・・」


自分でももう、何を口走っているのかわからなかった。
ただもっと彼を身体の奥で感じたかった。

ジェットコースターの頂上から一気に下に滑り落とされ、そしてまた上に突き上げられる・・・・・
そんな激しい感覚が何度も何度も繰り返し襲ってくる。
その感覚の波が押し寄せる度ボクの身体は仰け反り、その波に流されないよう進藤の身体を掴んだ。

どんどんその波の間隔が短くなってくる。
身体ごと、どこか別のところへと押し上げられて行く様な感覚に包まれ、ボクは繰り返し「進藤、進藤!」と荒い息の中で彼の名を呼んで・・・・・・・・・
そして目の前が弾け飛んだ。




「とーや、とーや!大丈夫?!」


一瞬意識が飛んでしまっていたらしい。
進藤が心配そうな顔でボクを覗き込んでいた。


「ごめん、進藤・・・ボクひとりで・・なんか恥ずかしい」


声が掠れてしまって上手く喋れない。
喉がヒリヒリする。


「オレもちゃんとイったから。あ〜そのオマエの掠れた声が・・・なんかたまんねぇ」


そう言いながらと嬉しそうな顔をボクの顔に摺り寄せてきて、すりすりと頬擦りをはじめる。
そしてひとしきり顔を摺り寄せて満足したらしく、いきおい起き上がってバスルームに消えたかと思ったら、暖かい濡れタオルでボクの身体を拭き始めた。


「なんかボクばっかりしてもらってるみたいだ」

「うんにゃ、オレがしたいの!ってかやらせて?・・・な?」


こんな些細な事でも彼の優しさが染みてくる。
そしてふたりベッドに潜りこみ身体を寄せ合う。
幸せだった。
今朝、家を出るときには想像もしていなかった事の進行に
「まだ夢を見てるんじゃないか?」
とも思う。


「なんだか夢を見てるみたいだ」

「あぁ〜?こんなイイ事を夢なんかにするなよ、オマエ」


と言って進藤が笑う。


「これからなんだからさ、オレ達は」

ボクの髪をゆっくり撫でながら切なくなるような優しい声で囁く彼。
それがあまりに気持ち良くって・・・・・・・・・・


「とーや?眠っちゃったの?」


彼の呼ぶ声が聞こえたけど、それすら嬉しくて気持ちよくてボクは眠りに落ちて行った。



(あれ?ここは?)
一瞬目が覚めた時、何が何やらわからなかったけどすぐに思い出して我に返る。
そして隣にいるはずの進藤を目で探す。


「進藤?」

「あ、起きた?」


彼は窓際に立って外を見ていたらしい。
ボクが身体を起こそうとして痛みに顔をしかめたのを見て飛んでくる。


「無理すんなって、って無理させたのはオレだけど・・・・ゴメン」

「ううん・・・・それよりどのくらいボクは眠ったんだろうか?」

「30分くらいだよ。オマエってば可愛い顔して寝てるんだもん。おれオマエの寝顔が見れてすんげえ嬉しかっ・・・・・・いってぇ☆ぶたなくったってイイじゃんかー!だって本当のことだもん!」


涙目で抗議しているのを、フンと無視する。


「さっきまでオレたちあんなにアツアツだったじゃんかーーーーっ痛てぇっっ」

「だから、キミはどうしてそう恥ずかしい事をべらべらと・・・・・・・」

「オレ思ったことは口に出して言う主義なの!」

「ふぅ・・・わかったよ。・・・で、キミ外を見ていたの?」

「ああ、うん。夜景がすっげえ綺麗でさぁ。今までは夜景にうっとりしてる女の子の気持ちがわかんなかったけど・・・ってゴメン。マエの彼女の話なんか持ち出して。」

「ううん・・・それはお互い様だから・・・・で?」


変な気を使わせちゃったな、と先を促す。


「うん、でさ・・・・オマエ寝ちゃったからさ〜、外でも見よっかなって思って。そしたら夜景がなんかこう、胸に?・・・グっとキちゃってさーー、なんか上手く言えないんだけど、今まで見てた夜景と今日見た夜景が違うんだよ、同じ景色なのにさぁ。なんでだろう?って思って・・・・ああそっか、オマエがいるからなんだ・・・・って思ったらすっげ嬉しくってさー。そしたらオマエが目ぇ覚ましてるし」


国語が苦手な(だった)彼が頬を紅潮させてあれこれ言葉を駆使し、言いたい事はボクにもよく伝わってきた。


「ボクも見るよ」
ガウンを羽織って彼と窓際へと行く。


「本当・・・・・・綺麗だ・・・・・」

しばらく、ボクは声もなくただ窓の外を眺めた。


「ボクも夜景をこんなに綺麗だと思ったは初めてだよ・・・進藤」


彼に肩を抱かれて見る夜景は本当に綺麗だった。
(本当だね、ボクも胸に来るよ、この眺めは)


「塔矢?!泣いてるの?」

「え?泣いてなんか・・・・・」


と言ったボクの頬に一筋涙が伝わっていたみたいで、進藤がそれを指でそっと拭ってくれる。


「なあ・・・・塔矢、あの時・・・・その、前にさ。車でオマエを送ってったじゃん?あん時、なんでオマエ泣いてたの?」


ああ・・・・・あの時。
あの時は今と違ってボクはまだキミに片思いだったんだ。


「あの時は、キミの事が好きで・・・・・車に一緒に乗ってるだけでなんか・・デートみたいだな、なんて思ったりして。そうしたらいつも見ている街の灯りがいつもと違って見えて・・・・・。それってキミに片思いしているせいなんだろうか?なんて考えたら切なくなってきて・・・・・・・・」


彼がぎゅっとボクの肩を抱き寄せる。
ボクはことりと彼の肩に頭をあずけた。


「オレたち、なんて遠回りしてきたんだろうな」


そういう彼の声は少し涙声だった。


「でも、これからはずっと一緒だぞ」

「うん・・・」

「オマエがいやだって言ってもおれオマエの事離さないから」

「それはぼボクも同じだ、進藤。ボクはこうと決めたら絶対に諦めないし諦める気もない」

「うん、オマエの執念深さは中学ん時から充分知ってるし・・・・・・・・って☆痛てぇっっ。またぶつーーー。オマエ愛しのダーリンをそうボコボコとよくも・・・・・・・」

「誰がダーリンだって?」


ふたり声を出して散々笑って・・・・・・・



「キミだけだよ・・・・・・・・進藤。今も、これからも」

「オレも。オマエだけ」



そしてまたゆっくりと抱き合った。
今までの空白の時間を埋めるように・・・・・・・・・・・



                                                                  終わり


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                    「長かった・・・・・・・・・」

と一言・・・・。
言いたいのはゲスト様の方ですよね・・・・済みません。
間がかなり開いてしまって、酷い事になってしまってました。
なんか、こう・・・・・ぶつ切りエロならなんとかなるんですが(何だそれ?)・・・・・難しい(涙)
一連の手順を踏んだえろは思いのほか難しかった・・・・・(バタリ)←力尽きて倒れた模様。
自分が書く(描く)ヒカアキは基本的に・・・ってか絶対にラブラブハッピーエンドです。
あまり辛いのは・・・・・・ううう〜〜〜〜好きかもっ!(終わりがよければ!)
痛い話も読むのは好きなんですが、おいらにそれだけの物を書く力がありません。

ということでこれからもうちの二人はラブラブ街道を驀進していく予定です(爆笑)

自分、夜景を見るのが三度のメシの次の次の次くらいに好きです♪
たまたま都会の夜景を見る機会がありまして、ついつい勢いで始めたお話でしたがこれをUPするにあたって
夜景サイト様巡りをして本当に綺麗な夜景を見せていただきました。
頭を空っぽにしたい時などは(や!いつも空っぽでありますが)その夜景サイト様にお邪魔して「ボーーっ」とただひたすら
数々の美しい夜景写真に見とれて、癒されております。
音楽がついていたりすると、もういつまででも見ています(笑)
イイでっせーーー夜景!(爆笑)



さて、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
「その後」の二人もちょろりと書くつもりではおります。ふふふ・・・・(書くのかっっ?!)

ではでは。


                                 なおここまでの一連の素敵な音楽は・・・・・・
                             「Shinjyou's Music Room」
                                新条ゆきの様
                                      からお借りしました。


                                       2005.4.22  とりとんぼうず