別れ−6(和谷side)


「なあ、進藤。最近オマエ変だぞ?どうした?何かあったのか?塔矢の奴も変だしさぁ」


塔矢の名前を出したら進藤の奴、ピクっとしてオレを見た。


「オレ・・・・結婚するんだ」

「あ?とっっ塔矢とかー?!」

「違うよ・・・・・女の子・・・・・。出来ちゃったんだ、子供。」

「オマエっっ!!」


進藤の胸倉を掴む。
進藤は今にも泣き出しそうな顔で俯いた。


「進藤?オマエ何やった?誰なんだよ、そのオンナって!」

「あの娘だよ和谷。よく棋院に押し掛けてた。あの飲み会の後・・・・・」

「あの娘か?!だってオマエあの娘のこと避けまくっていたじゃないか?それをなんで・・・・・」

進藤は顔を時々歪めながらポツリポツリとあの晩のことを話し始めた。


「オマエ・・・・」

「オレが悪い」

「進藤・・・・好きでもない奴と結婚してこれから先ずっと、やっていけるのか?え?」

「生まれる子供に親は必要だ。それだけだよ」

「塔矢はどうした?言ったのか?」

「うん・・・・・もうアイツ実家に戻ってる。荷物も全部運び出して」

「それであれか・・・・・塔矢も顔色が悪いもんな、最近。」

「そうなんだ和谷、オマエにもわかるか?」

「ああ、それにオマエたちが無視しあってるの少しずつ棋院の中でも噂し始めてる奴らがいるぞ。
いいにつけ悪いにつけ、お前たちは目立ち過ぎる。」

「噂なんかどーでもいい。だけど塔矢が・・・・アイツが心配でっ!」


進藤の声が震えてる。
あんな姿見たらそう思うよな。
スーツ着てるとわかんないけど、この前塔矢が袖をずらして腕時計をチラっとみた時の手首の細さに
驚いた。ケンカでもしたんかなって思ってたんだけど、まさかこんな事になっていたとは。


「和谷!頼む!!」

いきなり進藤が崩してた膝を直してオレに向かって土下座した。

「オレはもうアイツに近寄ることも、心配して声を掛ける事も出来ねぇ!
だから・・・・だから・・・・和谷、頼む!塔矢を・・・・あのままじゃアイツ・・・っ!!」

「わかったよ、進藤。頭上げろよ。今度折りを見て塔矢と話をしてみるさ」

「ゴメン!」


結婚式は彼女がつわりが酷いので式は挙げず、ごく身内だけでひっそりと食事会のようなものを
来月開くんだと言った。


「そっか・・・・・そこまで話が進んでるんだったら・・・
彼女と生まれてくる子供を大切にしろよ。オレが言えるのはそれだけだ、進藤」

「うん・・・・ありがとう、和谷」

「オマエも身体壊しちゃ元も子もないぞ、無理してでもメシだけはちゃんと食え!いいな」


それからふたり、静かに酒を飲んで・・・・夜が更けて行った。



                                          2005年10月14日

 

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